戦前に建てられた鎌倉の木造図書館の解体問題
またしても惜しまれながら解体が決まった建物が出てしまった。建物の所有者は鎌倉市で、これまで不登校児相談などの窓口だった教育センターとして使用されてきたが、耐震の問題などを理由に市の分庁舎の増床としての建て替えが昨年12月に議会で可決されたのだ。しかしこの建物は、関東大震災で倒壊の後に昭和11年に再建されたという経緯があるものの、最初に建てられたのは明治44年で、鎌倉の市民文化を支えてきたという歴史がある。鎌倉駅の西口から近い御成小学校の正門の脇という、多くの市民が目にする場所でもある。歴史的な街並みを継承していくことを標榜する鎌倉市だけに、市役所自らのそのスローガンに反する行為を市民が許すわけがない。それで、図書館ボランティア団体が中心となって、保存に向けた緊急シンポジウムが開催された。 シンポジウムでは、歴史研究家の内海氏と建築家の菅氏の2人によるプレゼンテーションの後に参加者によるディスカッションが行われた。僕が感じたのは、この建物が間島氏という個人による寄付によって建てられたという経緯に対して、市は配慮が足らないということと、それと、鎌倉の独特の街並みや雰囲気は、そうやって市民が代々継承してきていて、市民もそれに対して誇りを持っているということだ。仮に、この図書館が消えてしまうことで、その伝統がなくなってしまうわけではないだろうが、その誇りを象徴する建物や風景のひとつひとつがやはり大事だと思う。それらの破壊を許し続けていたら、いつかは鎌倉が鎌倉でなくなってしまうからだ。
「解体方針、再考を」 鎌倉タウンニュース http://www.townnews.co.jp/0602/2015/01/30/269750.html
図書館とともだち・鎌倉 http://totomo.sakura.ne.jp/
「旧鎌倉図書館の保存・活用をもとめる」 署名用紙ダウンロード http://totomo.sakura.ne.jp/2015/shomei.pdf
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